バックロードホーン 気ままに一言 8132


メールで頂いた質問にお答えします。

1:渡辺章:

2024/04/07 (Sun) 15:05:26

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1712469926.jpg お問合せメールの内容は以下の通りです

突然のメールで失礼いたします。
現在販売していますフォステックスのP1000-BHと言うBOXに適合するスピーカーにはどんな物がありますか?
渡辺さんが一押しで評判が高い103NV2を考えていますが如何でしょうか?

豊島


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お問い合わせありがとうございます。
フォステクスのP1000-BHは空気室容量とクロスオーバー周波数しかカタログで公開されていませんが、一般的な計算式で逆算すると以下の様になります。

空気室容量(1.1リットル)=10×(スロート断面積)/クロスオーバー周波数(270Hz)
以上を逆算するとスロート断面積は 約30平方センチメートルとなります。

FOSTEXの10cmユニットの実効振動半径は4cmですから、有効振動板面積は以下の式になります。
有効振動板面積=4×4×3.14=約50平方センチメートル

有効振動板面積(50平方センチメートル)に対するスロート断面積(30平方センチメートル)は60パーセントですから、スピーカーユニットのQ0値は概ね0.5前後の物が適合ユニットと言う事になります。

そこでFOSTEXの10cmユニットのQ0値を見ると、
K1000Pは   0.52 
FE103NV2は 0.42

数値から判断しますと、P1000-BHに最適なスピーカーユニットは、K1000Pと言う事になります。
取り付け希望のFE103NV2では若干スロート断面積と空気室容量が不足している様ですので、エアースプレングによる中低音の切れの悪さや籠り等の歪が出る可能性は否定できません。

尚、「FE103NV&NV2は初回生産分に限り稀にバックプレートが底打ちすることがあります。」と言う記載が取説にありますので、P1000-BHの生産時期の確認も必要です。
もしマグネットが吸音材を押しつぶして空気室の壁に圧力が掛かっていると、ビビリ音等の異音を発生される確率が格段に増えますのでご注意下さい。

こんなご説明で宜しかったでしょうか?

          渡辺
2:豊島 :

2024/04/07 (Sun) 17:26:59

ありがとうございました。
少ない情報から色々な事が分かるんですね。
とても参考になりました。
3:渡辺章:

2024/04/07 (Sun) 18:13:48

メールで頂いたと言う事は、掲示板に書き込み出来なかったのですね。
たまにこんな事があり、ご迷惑をお掛け致しております。

HPに記載の通り、バックロードホーンはスピーカーユニットの諸元が命ですので、これを無視する事は出来ません。
特にスロート断面積が一番重要で、小さ過ぎると空気室がエアースプリング状態になります。
スピーカーから出る音で中低音はコーン紙が前後するピストン運動なので、エアースプリングが発生すると音が籠ったり低域のキレが悪くなり繊細さを失います。
しかし高域は共振による分割振動なので、エアースプリングの影響は受けにくく、それが原因で不具合に気が付かずに聴かれている方が少なくないと思います。
逆に大き過ぎるとスピーカーユニットのF0(最低共振周波数)以下が拾い出せなくなるため、バックロードホーンとは言えない出来損ないになってしまいます。
試作でスロート断面積を調整していると、その変化がよく判るのですが、取り付けするスピーカーユニット用にきちんと調整されていないと、例えメーカー品でもバックロードホーンとして十分な効果を発揮出来ません。
そして、調整済みの物と未調整の物とを聴き比べないと、その違いが実感できないのも、バックロードホーン選びの難しい点なんだと思います。
最低でもスピーカーユニット諸元にバックロードホーンエンクロージャーが適合しているのか、確認する事が大切だと思います。

            渡辺

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