バックロードホーン 気ままに一言 8006


FE108EΣ専用機について

1:渡辺章:

2022/12/27 (Tue) 14:32:44

皆様からのご要望が多く、この年末にかけて設計に着手する事を決めました。
いつもの通り、設計・試作・再設計・試作と繰り返す作業になり、ヤフオクへの出品は早ければ来春1月中、試作に手間取れば3か月前後を要する場合もあります。
お待ち頂いている皆様にはなにぶん心苦しいですが、納得のデキになるまでの期間、お待ち頂けます様、お願い申し上げます。
               渡辺
2: :

2023/01/03 (Tue) 01:05:18

期待しております。
3:渡辺章:

2023/01/06 (Fri) 14:49:20

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1672984160.jpg D-10バッキーにFE108EΣを取り付けた方から「低音が出ない」と言う事で何件か専用設計の依頼をお受けしていましたが、FE108EΣユニットが入手できた事で、手始めにどんな特性なのかバッキーを忠実に再現しテストしてみました。
はなからFE108EΣのスロート断面積比の適正値が80パーセントに対し、バッキーは90パーセントで作成されている為、低域の拡大はさほど大きく無いと想像していましたが、測定してみるとほとんど拡大されていない事実に驚きました。
詳しくは添付した周波数特性のグラフをご覧になればご納得頂けると思います。
とりあえず、FE108EΣ専用機の設計は出来ましたので今後、作成・計測・調整と進んでいく段取りです。
どこまで低域特性を伸ばせるか、私自身も楽しみです。
途中経過は随時報告する予定ですので、宜しくお願い致します。
4:渡辺章:

2023/01/06 (Fri) 15:13:36

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1672985616.jpg ネットサーフィンしてみたら、同じく周波数特性の計測結果をUPしたサイトが有りましたので、ご紹介します。
http://www.diyloudspeakers.jp/3000html/3080d10/3088d10.html
バッキーにも木材の種類や吸音材等、個体差はありますが、ほぼ同じ様な特性を示しています。
尚、添付写真は上記測定した仮組したバッキーと測定風景です。
5:渡辺章:

2023/01/08 (Sun) 19:58:42

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1673175522.jpg 添付画像の様に両面テープで仮組したエンクロージャーは綺麗に解体する事ができ、再利用が可能になります。
側板は大きいサイズでも問題はありませんので、無駄は全く出ません。
自作マニアの方、参考になさってみたら如何でしょう。
尚、両面テープはスポンジ系を選べば気密性も確保できます。
6:渡辺章:

2023/01/09 (Mon) 13:59:17

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1673240357.jpg FE108EΣ専用機の試作第一号の測定を行い、その結果をご報告します。
添付グラフの通り、あまり芳しくない結果となりました。
口径が小さく高効率のユニットはどうやら過去の経験が全く当てはまらない様でD-10バッキーよりはF0以下の低域が僅かに増した程度で、安価なFE103NVユニットを使ったDー10バッキー魔改造の方がよっぽど良い特性で、試聴でも明らかにその違いが判ります。
メーカー推奨のエンクロージャーでも周波数特性のグラフはF0より下は急激に落ち込んでいる様で、とても優秀とは言えない代物の様です。https://www.fostex.jp/wp/wp-content/uploads/2015/04/FE108ESigma_m.pdf
今後設計を見直し、改善策を探ってみようと思います。
7:渡辺章:

2023/01/10 (Tue) 16:25:32

前回の試作第一号機から広がり定数を0.8から0.7に変更し、音道長を2.3m確保してみましたが、低音特性は僅かに増えた程度です。
FE103NVユニットを使ったDー10バッキー魔改造機に比べると、立ち上がりの早い能率の良いユニットの割にはコーンのストロークが短い様で、適正値と思われるスロート断面積でもホーンに送る空気の量は少ない感じです。
FE103NVユニット専用に設計したDー10バッキー魔改造機では、エージング前後では低音の柔らかさが増した感じでしたが、エージング前でも上グラフ下段の様な特性を示していました。
FE108EΣはエージングが進めばコーンのストロークが増すのかは判りませんが、とりあえずしばらくエージングを続けてみたいと思います。
FE108EΣをお使いの方がおいででしたら、エージング前後の音の変化等を教えて頂けたら幸いです。
8:渡辺章:

2023/01/13 (Fri) 10:19:29

試作機第2号でのエージングを続け20時間を超えましたが、なかなか低域の拡大には至っておりません。
ところが中高音は艶と解像度が増し、価格相応のパフォーマンスを持っている事が判明しました。
これでFE103NVユニットを使ったDー10バッキー魔改造機なみの低域特性が得られれば、10cmクラス最強のスピーカーが出来ると確信しました。
試作第二号機からクロスオーバー周波数と音道のレイアウトを変更し、試作第三号機の設計を行っています。
これでダメなら、もう一回りサイズアップをと考えています。
FE108EΣ専用の傑作、何としても造り上げたいと思います。
9:渡辺章:

2023/01/19 (Thu) 13:03:46

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1674101026.jpg スロート断面積を決めるのはスピーカーユニットの振動板面積に「Q0(共振先鋭度)」に対応する「スロート断面積比(係数)」を掛けた数値と一般的に知られています。
この係数は「Q0(共振先鋭度)」が小さければ、立ち上がりが早く高能率なユニットの為、押し出す空気の量も増えると言う前提で考えられ、更に実際の結果も当てはまったからだと推察されます。
またスピーカーユニットの振動板のストロークが同じなら、流動する空気の量は振動板面積、すなわち「実効振動半径(a)」の2乗に比例するため、理論的には間違いではありません。
事実これまでの出品作、Dー10バッキー魔改造機・FE126NV専用機・FE166NV専用機とも、この理論を基に仕上がっています。

今回苦戦しているFE108EΣ専用機は、一般的に知られた計算式で算出した数値を基に試作機を3台作りましたが、どれも低域の拡大には至りませんでした。
音道をそのままにスロート断面積を絞り、どの程度で中低音に歪みが生じるか試したところ、計算値の50パセントまで絞っても何の問題も無く再生しました。
これは先に造ったDー10バッキー魔改造機・FE126NV専用機では全く考えられない事で、強力なマグネットが要因のオーナーダンピングの特性を示したものと考えられます。
そこで今回テーマに掲げた「流動する空気の量」を検証してみたいのですが、測定する術がありません。
今回、同じ振動板面積を持つFE103NVとFE108EΣに10Hzを再生させ、そのストロークを目視で比べたところ、ほとんど違いが無い事実にたどり着きました。
この結果を基に、Dー10バッキー魔改造FE103NV・NV2専用機と同じ、スロート断面積32.6平方センチメートルで再設計し、4台目の試作機を作成中です。
測定結果は試作機が完成した後に報告させて頂きます。

ちなみにオリジナルのDー10バッキーのスロート断面積は45平方センチメートル、メーカー推奨のバックロードホーンは計算式通り40平方センチメートル。
どちらもスピーカーユニットの振動板にロードが掛からず、スカスカの状態である事がこれまで造った3台の試作機で証明された結果となりました。
10:渡辺章:

2023/01/19 (Thu) 22:06:26

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1674133586.jpg 試作3号機の結果を報告しておきます。
スロート断面積は計算式通り40平方センチメートル 空気室容量はクロスオーバー周波数を220Hzに設定したため1.83リットル 広がり係数は低域の音圧を犠牲にして拡大を見込んだため0.7 そして音道長は3mとかなり大胆な設計です。
結果は添付グラフの通り、オリジナルのD-10バッキーより僅かにダラ下がりのカーブが緩やかになった程度ですが、開口部では広がり係数0.7と音道長の3mが効いたおかげで素晴らしい特性が得られました。
しかしこの特性もリスイングポイントには届かず、F0の77Hzの音圧レベルを50Hz辺りまで拡張する必要性を感じます。
ここまでの試作機の試験では、スロート断面積は計算式通りの40平方センチメートルでは大き過ぎ、スピーカーユニットのコーンにロードが掛かっていないという事が判断できます。
更に問題点は上の添付写真でお判りの通り、エンクロージャーサイズが大きい事です。(900×400×180)
これを見越して試作4号機を設計し明日あたりから組み始める予定です。

11:渡辺章:

2023/01/29 (Sun) 21:13:44

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1674994424.jpg 試作4号機の試験結果を報告します。
試作3号機の結果を基に試作4号機は断面積比を75パーセント・クロスオーバー周波数250Hz・広がり係数を0.8に設定し測定した結果が添付グラフです。
広がり係数0.7から0.8に変更した事で開口部の低域の音圧は上がりましたが、1m離れた計測点ではさほど変化はありませんでした。
この事から、スピーカーユニットにロードがまだまだ足りていないのではないかと推測されます。
ちなみに1号・2・3号機の断面積比は80パーセントですが、D-10バッキー+FE108EΣの断面積比を90パーセントよりは、F0以下の急降下は緩やかになった事が確認できます。

一般的に知られた計算式での断面積比では、スピーカーユニットの能率が良くなるにつれスロートの縮小率が小さくなるのがセオリーです。
要するに高能率のスピーカーユニットは、強力なマグネットのおかげで入力に対する反応が早く、コーンストロークも大きいため、多くの空気がスロートに送られので、大きくてもスピーカーユニットにロードが掛かると言う事が前提での比率です。
ところがFE108EΣは入力に対する反応は早い様に感じますが、ストロークは安価なFE103NVと同等に近いのではないかと感じ、次の試作機はスロート断面積比をFE103NV専用機と同じ65パーセントに設定しテストしてみようと思います。
設計は既に出来ていますので、試作後に結果を報告させて頂きます。
12:渡辺章:

2023/02/07 (Tue) 20:06:55

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1675768015.jpg 最終試作機の結果を報告します。

結果は添付グラフの通り(グラフ①)のD-10バッキー+FE108EΣに比べてF0以下の特性がなだらかになり、+15db程度の改善が見られました(グラフ②)
実際に試聴しても低域の改善は明らかで、スピード感のある中高域に加えて低域にパンチが加わった印象です。
ここまでの特性を得るまでに試作を5回、細かな調整を含めると何回周波数特性を計測した事か・・・。
ちなみにもう少し突き詰めると更に低域特性が上がりますが、反面中高音の歯切れが悪くなる傾向に振れるため、このあたりが妥当な感じがします。
今回苦労した点は、FE108EΣは一般的に知られている計算式には当てはまらない事でした。
流石に低域の苦手な高効率のスピーカーユニットは、一筋縄ではいかない事を思い知らされました。
詳しくは下記の通りです。

「スロート断面積」の求め方はHP「スロート断面積と空気室容量の求め方」で説明した通り、「実効振動面積」に「Q0(共振先鋭度)」に対する係数「スロート断面積比」を掛けた数値と説明しました。
この事を解析すると、「スロート断面積」は「実効振動面積」に比例し、「Q0(共振先鋭度)」に反比例する関係にあります。
「実効振動面積」に比例する事は何方でも予想が付くと思います。
振動板面積が大きければ、沢山の空気を流動させる事が可能なので、大きなスロート断面積でも振動板にロード(負荷)を掛ける事が可能です。
スピーカーユニット前面の無限の空気を空振りしていたコーン紙も、適切なスロート断面積による密閉度を持つ空気室ではロードがかかり「F0(最低共振周波数)」以下の低域まで拾い出す事が可能となります。

では「Q0(共振先鋭度)」に反比例するとはどういう事なのでしょう?
これは、能率の良いすなわち「Q0(共振先鋭度)」が小さなスピーカーユニットの場合は、スロート断面積の絞り率を小さくし、大きなスロート断面積で良いと言う意味なのです。
「Q0(共振先鋭度)」が小さいと言う事は、強力なマグネットのおかげでスピーカーユニット自体の能率が高く、オーバーダンピングであると言う事です。
オーバーダンピングとは制動力が強いと言う意味で、入力に対する振動板の動きが早くなり、切れの良い中高音が得られる特性を持ちますが、反面低域の出にくい特性も併せ持ちます。
また一部のスピーカーユニットは、強力なマグネットの力で振動板を大きく動かし、非力なアンプでも大きな音が出る仕様の物もあります。(ウーハー系に多い)

FE108EΣが沢山の試作や微調整を経て得られた結果から、「「Q0(共振先鋭度)」に反比例する」は全く当てはまらなかった事実でした。
もともと低域が苦手な高能率のユニットなので、大幅な改善は期待していませんでしたが、スロート断面積を大幅に絞っても、なかなかロードが掛からない理由は何なのでしょう?
そもそも「スロート断面積」は「Q0(共振先鋭度)」に反比例すると言う理論は、前にもお話ししたスロートを流動する空気の量が増える事を前提にした考えの上で表されたものと考えられます。
流動する空気の量が増えると言う事は、単純に考えるとコーンストロークが増え、音が大きく聞こえると言う事になります。
そこで、D―10バッキーが発表された当時のスピーカーユニット(※印)と、FE108EΣの出力音圧レベルを比べてみました。
参考までにFOSTEXの他のユニットも並べてみます、

FE106Σ   QO 0.28   出力音圧レベル 92.0dB/W/1m ※
FE108Σ   QO 0.28   出力音圧レベル 92.0dB/W/1m ※
FE108EΣ   QO 0.3 出力音圧レベル 90.0dB/W/1m
FE103NV2 QO 0.46   出力音圧レベル 88.5dB/W/1m
FE126NV2 QO 0.34   出力音圧レベル 92.0dB/W/1m

1W(ワット)・1mで2db違うと音量は1.25倍の差が出ます。
単純には比較できませんが音量が1.25倍と言う事は、同じ1WでFE108EΣより昔のスピーカーユニットは多くの空気を動かしていると考えても間違いでは無いでしょう。
当時のスピーカーユニットは、「高能率=高い出力音圧レベル」と言う理論が当てはまるので、おそらくこの結果が現在知られている計算式に反映されているのだと推測されます。
FE108EΣが当てはまらなかった理由は、この出力音圧レベルの差、しいては動かす空気の量である事が考えられます。
この事から小口径・高能率のスピーカーユニットは、出力音圧レベルまで考慮して設計をする必要性が有るようです。
ちなみにFE103NV2とFE108EΣでは数値上で1.5dB/W/1mの差がありますが、実際にスイッチングしながら聞き比べるとFE103NV2の方が大きく聞こえるのはどんな理由なのでしょう???
不思議な事がまだまだ沢山出て来そうです。

今回の試作で得られた数値は、流石に秘密にしておきたいと思います。
上の試験結果から想像で来ちゃうと思いますが・・・。

現在試聴用の録音をする為、試作機はエージング中です。
その後、継ぎ接ぎだらけのエンクロージャーを化粧直ししてお見せ出来るよう準備する予定です。
ちなみにオークションへの出品は2月末から3月頃になると思います。
現在はFE126NV専用機を作成中で、近々出品予定です。
13:渡辺章:

2023/02/12 (Sun) 18:04:30

https://bbs1.fc2.com//bbs/img/_892800/892702/full/892702_1676192671.jpg サイズ
高さ 80cm
幅  17cm
奥行 25cm(突起含まず)
重量 7.8kg/1本(スピーカーユニット含まず)

D-10バッキーに比べたらスリムで奥行きも少なく、設置に苦労は無さそうです。
勿論、置台も必要ありません。


出品は2月末から3月頃になる予定です。

試聴コーナーにUPしましたので、お聴きにお立ち寄りください。
https://sites.google.com/view/awblh/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E8%A9%A6%E8%81%B4
14:渡辺章:

2023/03/04 (Sat) 16:32:58

大変お待たせ致しましたが、ヤフオクに出品できる状態となりました。
尚、この機種も塗装の硬化時間に充てる為、出品期間が長くなりますので、ご了承下さい。

最近、限定発売されたFE108SSーHPが話題に上がる事がありますが、早速D-10バッキーに対応するかと言うご質問を頂戴いたしました。
答えはNOです。
FE108SSーHPの諸元はQts(Q0)0.39 音圧レベルSPL 88dB(1m/1W)となっています。
FE108EΣのQts(Q0)0.3 音圧レベルSPL 92dB(1m/1W)でもD-10バッキーではスロート断面積と空気室容量が大き過ぎる事が今回の実験で判明いたしましたが、FE108SSーHPは更に能率が低い事や音圧レベルが小さいので、スロート断面積と空気室容量はなおさら大き過ぎます。
つまりロードが一切掛からず、聞こえるであろう音はユニット本体の音に薄い低音が乗ったレベルで、FE108EΣより貧弱な音がする事でしょう。
どうぞ、根拠の無いレヴューには騙されない様にご注意下さい。
物の善し悪しは比べる対象があって初めて成立します。
その対象となるべき物の記載が無い以上、評価者の思い込みと言っても過言では無いと思います。
15:渡辺章:

2023/06/17 (Sat) 14:33:35

「メーカー推奨のエンクロージャーでも周波数特性のグラフはF0より下は急激に落ち込んでいて、とても優秀とは言えない代物の様です。」
https://www.fostex.jp/wp/wp-content/uploads/2015/04/FE108ESigma_m.pdf
と言った文言を以前に残しましたが、やっと聴く機会に恵まれましたので報告させて頂きます。
と言ってもYoutubeにUPされた空気録音なので帯域は詰められていますが、流石に十分再生されるはずの60Hz以下が周波数特性と同様に薄すぎて、やはり完璧なエンクロージャーで無い事が確認できました。
試聴音源は「Carpenters」の「Only Yesterday」ですが、原音で聞こえているバスドラの音が紙の太鼓の様な薄っぺらい音で、とても聴くに堪えませんでした。
また、セパレーションや解像度は録音機材や録音環境で左右されますので、あえて評価を控えますが、他の方の空気録音に比べても、Youtubeに公開できる程のパフォーマンスには至っていません。
試聴音源は著作権に抵触する恐れがあるため、URLの公開は控えさせて頂きます。
「これで十分」と思われた方は、お選び頂いても良いと思いますが、FE108EΣのパフォーマンスが十分生かされていないため、コスパを考えたら私自身は絶対に造らないエンクロージャーです。
このエンクロージャーはQO値 0.3のFE108EΣ専用機として紹介されていますが、それよりQO値の大きなFE103NV2・P1000K等には適合はしませんので、もしその様な出品があった場合は特にご注意下さい。
また、この機種は空気室内に十分な余裕が無い為、音道途中や開口部に吸音材や定在波抑制装置を多量に施す必要があります。
開口部は後からでも施工は可能ですが、音道途中(背面側)には施工が出来ないため、チューニングが不十分な場合は位相歪による周波数特性の凸凹が大きく出ると予測されます。
音源が音源だけに測定は行えませんでしたが、それと思しき音の濁りは試聴でも十分に確認は出来ました。
16:渡辺章:

2023/07/25 (Tue) 22:53:44

D-10バッキーにFE103NV2を装着し空気録音した動画が公開されました。
このユーチューバーは比較的綺麗な空気録音をされる方で、高音質のヘッドホーンで聴けばその特性がよく判ります。
流石に帯域幅は詰められていますが、低域は30Hz辺りまで歪なく再生が可能なので、まずは30Hzの正弦波がお手持ちのヘッドホーンで再現出来ているか確認後に「D-10バッキー+FE103NV2」の空気録音をお聴きください。
ちなみに高域16KHz以上の音はデジタルフィルタリングされている為、だいぶ曇った音に聴こています。

※30Hz正弦波 https://www.youtube.com/watch?v=exeRki77OMY

※「D-10バッキー+FE103NV2」の空気録音 https://www.youtube.com/watch?v=D1Y07SyVXQE

D-10バッキーにFE103NV2を装着した場合、空気室容量やスロート断面積が大き過ぎて全く低域の拡大がされていない事がお判りだと思います。
おそらくFE103NV2のF0値に近い90Hz辺りまでしか再現されていない感じです。
(90Hz正弦波 https://www.youtube.com/watch?v=p4Xgxh5-3og
原音と比較試聴出来れば一番確実なのですが、もし原音に辿り着けたらお知らせ頂けたら幸いです。
17:渡辺章 :

2024/02/06 (Tue) 20:27:33

HP「※良い音ってどんな音?」でも記載していますが、Dー10バッキーにFE108EΣを装着した方からは、「10cmの口径からよく低音が出る」と言う評価がある一方、「低音が出ないので専用設計で箱を造って欲しい」と言う要望を頂きます。
「低音が良く出る」と言った方は、今までに聴いた中でDー10バッキー+FE108EΣが最良で、「低音が出ない」と言った方は、さらに高性能なスピーカーの音を知っているからなんです。

改めてD-10バッキー+FE108EΣの能力を纏めてみると、上記で説明の通りFE108EΣの最低共振周波数(f0)以下が全く拾い出せていません。
そのためD-10バッキー+FE108EΣからは、FE108EΣその物の音だけを聴いているに過ぎないのです。
その理由はHP「※バックロードホーンの原理」でも説明の通り、D-10バッキーはFE108EΣのQ0(共振先鋭度)値に対し、スロート断面積が大き過ぎて振動板にロード(負荷)が掛けられていないため、全くバックロードホーンとして機能していない事を意味しています。
10cmクラスで最高峰の高価なユニットですが、バックロードホーンとして機能していないエンクロージャーとの組み合わせでは宝の持ち腐れとなってしまいます。
「10cmの口径からよく低音が出る」と言った方は、だいぶもったいない聴き方をしている状態なのです。
FE108EΣのQ0(共振先鋭度)値 0.3ですらロード(負荷)が掛けられないのですから、更に数値の大きい低能率(FE108SOL(Qo0.34)やFE108SS-HP(Qo0.39)・FE103NV2(Qo0.46)等)のスピーカーユニットとの組み合わせは、言うまでも無く「論外」です。
D-10バッキーにこれらのスピーカーユニットを取り付けての試聴記がありますが、あくまでも個人の感想であって、バックロードホーンとしての特長である最低共振周波数(f0)以下が全く拾い出せていない事は諸元Q0(共振先鋭度)の値から明らかなのです。
但しこの試聴記を載せた方は、今までに聴いたスピーカーの音の中で一番良い音だと感じた事は事実だと思いますので、頭ごなしに「間違いダ・・・」と言えないところが歯がゆい所でもあります。

また、「D-10バッキーはFE108EΣが最適であり最も相性が良いとされています」と言う宣伝文を掲載した出品を目にする事がありますが、どなたが言った言葉なのでしょう?
私の知る限りでは、試聴レビューを投稿する評論家は数多くおいでででも、「最適である」とか「最も相性が良い」等と言った論評は見た事がありません。
フリーソフトでも周波数特性が計測できる昨今、下手な事は言えない時代ですので、根拠の無い発言をしないのが評論家としての常識となっている様です。
更に空気室内部の奥行きも45mmしか無いので正面バッフル板の厚が15mmのオリジナルサイズにFE108EΣを取り付けると、空気室の背面壁との隙間が3.5mmしか無く、一番背圧のかかる空気室内の背面に最適量の吸音材が入れられません。
以上の事からも、「最適である」とか「最も相性が良い」等とはとても言えないと言う事がお判りだと思います。

案の定、周波数特性を計測したグラフでは、200Hzの僅か下に大きなディップ(急激に凹んだ谷)が観測されましたが、これが吸音材の設置状態や音道内や開口部で起こる定在波の影響等で起こる位相歪です。
200Hzをギターの音で表すと3弦の開放の「ソ」の音になりますが、その音が極端に小さく聞こえます。
音楽では判りにくいですが、周波数スイープで確認すればどなたでも確認が可能です。

D-10バッキーのスロート断面積と空気室容量から逆算すると、実効振動半径(a)は40mmでQ0(共振先鋭度)が0.2以下、更にクロスオーバー周波数を250Hzで設計したと言う事が判ります。
この数値から考えると、長岡氏はFE108EΣ専用で設計した物では無い事が明らかです。
その前にFE108EΣの販売開始日は2005年11月8日で、長岡氏はその5年前、2000年に他界してますから「最適である」とか「最も相性が良い」等と言う話は有り得ない事なのです。
問題はQ0(共振先鋭度)が0.2以下で設計したバックロードホーンエンクロージャーにQ0(共振先鋭度)が0.3のFE108Σが適応できると判断した誰かが大きな間違いを犯した訳です。

「10cmの口径からよく低音が出る」と言った方も満足して聴かれているとは思いますが、バックロードホーンとして最低共振周波数(f0)以下が全く拾い出せていないため、低域側が不足している事を理解しておく必要があります。


20HZ~20KHz周波数スイープ
https://www.youtube.com/watch?v=Y5vS13JQ2uQ
(概ね30Hz以下及び16KHz以上は ユーチューブ側でフィルタリングされている為、確認は出来ません。)


お時間が許せば、HP「専用設計バックロードホーンの勧め」をご覧下さい。
皆様からの疑問・質問、バックロードホーンエンクロージャーを選ぶ時の注意点等、詳しく解説しています。
https://sites.google.com/view/awblh/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0


「※良い音ってどんな音?」
https://sites.google.com/view/awblh/%E6%A7%98%E3%80%85%E3%81%AA%E7%96%91%E5%95%8F%E7%82%B9/%E8%89%AF%E3%81%84%E9%9F%B3%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA%E9%9F%B3

※バックロードホーンの原理
https://sites.google.com/view/awblh/%E6%A7%98%E3%80%85%E3%81%AA%E7%96%91%E5%95%8F%E7%82%B9/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86

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